
こんにちは!ティピーコペです。
けっして安くはない登山靴、すぐに履けなくなるのは嫌だし、ずっとキレイで、できるだけ長く使いたいですよね。
登山靴ならではのすぐれた機能をずっと保ち、より長くキレイに履き続けるにはメンテナンスは必須です。
メンテナンスをしないと、通気性が悪くなったり、紫外線ですぐにボロボロになるんですよね。
当然、撥水コーティングもされてないので、突然の雨が降った場合は顕著にダメージを受けちゃいます。
そうならない様に、しっかりメンテナンスを行いましょう。
面倒かもしれないけど、いざ道具を一式そろえ、施工に慣れてくると、意外と楽しくなってくるし、靴への愛着も200%アップします。
という事でこの記事では、登山靴の「皮革」「ナイロン」「ハイブリッド」の素材別のお手入れ方法と、大切な「消臭除菌」について、網羅的に解説します。
私は10年使った登山靴とお別れし、新らしく“皮革とナイロン”を使ったハイブリッドモデルの登山靴「スポルティバのエクイリビウムLT-GTX」を購入したので、さっそくお手入れしました。

登山靴の素材
登山靴に使われてる素材は「皮革」「ナイロン(繊維系)」「ゴム」です。これらの素材を単体だったり、組み合わせたりして、登山靴は造られてます。
- オールレザー(すべて皮革)
- ナイロン(化繊系)
- ハイブリッド、コンビネーション(皮革×ナイロン)

登山靴の手入れをしないと…
登山靴の手入れをしないと、思ってるより早く、すぐにボロボロな見た目になるし、履き心地の悪い靴になるので、それはショックを受けることでしょう。
劣化する主な原因は3つ。
- 水分と土に混じって雑菌、カビ菌の侵入
- 乾燥
- 紫外線
これらの影響で靴の組織がボロボロになって色があせたり、型がくずれたり、ソールなどのパーツがめくれて剥げたりします。
- 透湿性能が落ちて靴の寿命が縮む
- 雑菌、カビ菌がまんえんする
- 臭いがキツくなる
- 生地がボロボロにくずれる
- 鋭利な傷が入りやすい
- すぐに色があせる

メンテナンスをすると、快適を長く保てる
しっかりメンテナンスをすることで、靴は蒸れにくく、長く快適に履き続けることが出来ます。それは登山靴が「水分と雑菌の侵入」「乾燥」「紫外線」から守れるからです。
皮革の場合は、よりしなやかになって、自分の足にピッタリとフィットしていくようにもなります。
登山靴「購入後」のメンテナンス
ココからは、登山靴を買ったら、使ったり収納する前に行った方がいいメンテナンスを記します。上から順番にしていきましょう。

使用前の メンテナンス 順番 | 効果 | 皮革 | ナイロン | ハイブリッド 皮革×ナイロン |
靴紐を外す | まんべんなく塗布できる様に | ① | ① | ① |
水 | 水を馴染ませる | ② | ② | ② |
レザージェル | 内部の防水 馬毛のブラシで馴染ませる | ③ | ー | ③皮革部分のみ塗布 |
補色・防水ローション | 色落ち防止、補色、防水 馬毛のブラシで馴染ませる | ④ | ③ | ④ |
皮の栄養剤 アプリケーションブラシで塗布。 馬毛のブラシで馴染ませる | ⑤ | ― | ⑤皮革部分だけ | |
レザー部分の撥水 | ⑥ | ― | ⑥皮革部分だけ | |
ナノスプレー | ナイロン素材の撥水 | ー | ④ | ⑦ナイロン部分をメインにたっぷり散布 |
\コーティングイメージ/

靴紐を外す
まずは靴紐をすべて外し、隠れてた生地を伸ばして、全体をムラなくコーティング出来るようにします。
水を馴染ませる
皮革、ナイロンにOK!
これから塗布していくジェルやローションを馴染みやすくするために、まずは水で濡らします。手に水をつけて、皮革やナイロンを手で撫でて濡らします。

レザージェル(内部の撥水)
皮革部分に使える
まずは「皮革の内部」を防水処理します。そのために必要なのがレザージェル。
もし塗らないと…
皮革部分に泥や水が付着すると、それに混じって雑菌が入り込んで、カビや劣化の原因になります。
レザージェルを染み込ませると、皮革の微細な毛穴や起毛の穴、皮革の内部を防水できるので、雑菌、カビ菌の侵入を防御できます。
手のひらにプッシュして、皮革部分にサッと塗り込みましょう。
ジェルはすぐに浸透するので、サッと塗ったらすぐにブラシでまんべんなく馴染ませていきましょう。
補色・防水ローション
皮革、ナイロンに使える
↑グレーなので、色はカラーレスを使用
↑ブラックを使用
レザージェルを塗ったら、乾かないうちに素早く補色・防水ローションをたっぷり塗ります。
紫外線による色落ちを防ぎ、補色することでキレイな見た目を維持できるローションです。

表面がつるつるになるので、登山靴を岩角にぶつけてもつるっと滑るので、深い傷がつきにくくなります。
靴のカラーにあった色を選んで塗り込みますが、靴に合った色がない場合は「カラーレス」を選び、皮革やナイロンに塗布してブラッシングしましょう。
レザーワックス(皮革の栄養剤)
皮革に使える
なめらかな質感が特徴的な皮革ですが、脂分がぬけると、ガサガサに乾燥して最悪な見た目と質感になります。
そこで、このレザーワックスを使って油分を与えることで、皮革の滑らかな質感を保てます。
指にワックスを数㎝だして、皮革部分にサッと塗りひろげ、指の腹や手のひらの熱でワックスを溶かすイメージで揉みこみましょう。
馴染んだ後は、しっかりとブラッシングをして、1日ほど乾燥させましょう。
出来るなら、このレザーワックスは乾燥を繰り返して3回ほど塗ると、しっかりと皮革内に沁み込みます。
\ブラシで塗布したい人は、コレが便利/
ナノクリーム(皮革の撥水)
皮革、ナイロンに使えるが、効果的な皮革部分にのみ塗布
ナノクリームを塗りこむことで、スプレーでは馴染みにくい皮革部分も強力な撥水効果が生まれます。

ナノプロ(ナイロン部分の撥水)
皮革、ナイロンに使えるが、効果的に使えるナイロン部分にのみ大量に散布
ナノスプレーは、ナイロンなどの繊維系に馴染みやすい撥水スプレーです。皮革にかかってもいいですが、主にナイロン部分に「これでもか!」というくらい大量に、まんべんなく吹きつけましょう。
下山後のメンテナンス
下山後は疲れてるけど、なるべく早めにメンテナンスをしましょう。
メンテナンスの工程は靴の状況によってマチマチだけど、しっかりやる時はこの工程を行います。
下山後の メンテナンス 順番 | 効果 | 皮革 | ナイロン | ハイブリッド 皮革×ナイロン |
靴紐を外す | 蒸れをなくす まんべんなく塗布できる | ① | ① | ① |
水 | 皮革に水を馴染ませる 本体はスポンジ、靴底はクリーニングブラシで落とす | ② | ② | ② |
汚れ落とし | ③ | ③ | ③ | |
レザージェル | 内部の防水 馬毛のブラシで馴染ませる | ④ | ー | ④皮革部分のみ塗布 |
補色・防水ローション | 色落ち防止、補色、防水 馬毛のブラシで馴染ませる | ⑤ | ④ | ⑤ |
皮の栄養剤 アプリケーションブラシで塗布。 馬毛のブラシで馴染ませる | ⑥ | ― | ⑥皮革部分だけ | |
レザー部分の撥水 | ⑦ | ― | ⑦皮革部分だけ | |
ナノスプレー | ナイロン素材の撥水 | ー | ⑤ | ⑧ナイロン部分をメインにたっぷり散布 |
靴紐とインナーソールを外す
下山したらまず、帰宅する前に靴紐とインナーソールを取り外しましょう。こうする事で、帰った後に靴紐を取る面倒くささが減るし、靴の中の「蒸れ」を解消できるので、余分な菌の繁殖を防げます。
ブラシ・スポンジで水洗い
皮革、ナイロン、ラバーに使える
靴についてる泥や、微細な穴に入り込んだ土、雑菌を、水とブラシで洗い流します。
たっぷりの水で濡らしながらこするのですが、この時、靴のなかに水が入らないよう注意しましょう。
靴の中に水が入り込むと、せっかくのゴアテックス素材がダメになる可能性があります。
靴の中が泥だらけでどうしても水洗いが必要!という以外は、タオルや新聞紙を入れて靴の内部はしっかり水からガードして洗ってください。
汚れが強い場合は馬毛ブラシで優しく。砂ぼこり程度のときはスポンジで落としましょう。
靴の裏や側面のラバー部分はしっかりクリーニングブラシでこすり落としましょう。
アクティブクリーナーで汚れ取り
皮革、ナイロン、ラバーに使える
アクティブクリーナー(スプレー)を吹き付けて、すかさずウエス(布巾)で拭き取っていきます。
レザージェルをブラシですり込む
皮革部分に使える
登山靴を濡らした状態で、レザージェル(防水性のクリーム)を手にとって、皮革にまんべんなく馴染ませてください。
その後、ブラシで優しくすりこみます。
補色・防水ローションを塗る
皮革、ナイロンに使える
「補色・防水ローション」は何の素材でも使えるので、ガンガン縫って見た目の劣化を抑えましょう。
劣化して白っぽくなるのを防いでくれます。
いろんなカラーがありますが、私は「カラーレス」や「ブラック」を使用してます。
- カラーレス:色落ち防止
- 各種カラー:色落ち防止+補色
レザーワックスを塗る
皮革に使える
ワックスを手にとり、手の平で塗布。ブラシでこすって馴染ませましょう。
\ブラシで塗布したい人は、コレが便利/
ナノクリーム
皮革、ナイロンに使えるが、効果的に使える皮革部分にのみ塗布
皮革が乾いてると馴染まないので、水をつけたブラシでこすって、靴全体が濡れてる状態で、ナノクリームを皮革部分に手で塗布しましょう。
最後に、また水で軽く濡らしたブラシでブラッシングをしたら、皮革の手入れは終了になります。
ナノプロ
皮革、ナイロンに使えるが、効果的に使えるナイロン部分にのみ大量に散布
ナイロン系には、より内部まで浸透しやすいナノプロ(スプレー)をたっぷりとふきつけて、撥水加工をしましょう。
靴紐とインナーソール(中敷き)のメンテナンスはグランジャーズ
靴紐とインソールには1937年からの歴史があるイギリスの「グランジャーズ」ギアクリーナーを使って、しっかり汚れを落としていきます。
靴紐:もみ洗い
靴紐はグランジャーズのギアクリーナーを吹きかけて揉み洗いをして、5分ほど放置して水で洗い流しましょう。または、洗濯ネットに入れて洗濯機でジャブジャブと洗いましょう。
洗ったあとは、軽く絞って日影で干してください。
インソール(中敷き):ブラシ洗い
インナーソール(中敷き)を水につけて、グランジャーズのギアクリーナーを吹きかけて、ブラシで優しくシャカシャカと裏表をブラッシングしてください。
長時間、水につけたり、絞ったり、強いブラッシングをすると、ソールの側面が剥げることもあるので、手短に、優しく洗いましょう。
洗ったあとは遠心力でパッと脱水したり、タオルで挟んで押し絞りをして、風通しのいい日影で干しましょう。
登山靴の除菌・消臭
登山靴のメンテナンスと日陰乾燥が終わったら、最後に除菌消臭をしましょう。
①強力オゾン消毒!シューズナース
「オゾン」はマイナスイオンなどの胡散臭いものとは違って、医療現場でもバリバリに使われてる除菌方法で、「シューズナース」を使うとオゾンの力で消臭、殺菌、分解有害物質を浄化して、小型扇風機による乾燥までしてくれます。
70分作動して、自動で停止します。
- 最初の40分でオゾンが発生
- 後半の30分で発生したオゾンを回収(空気化)
途中で止めるとオゾンが消えないので、70分しっかりと作動させましょう。
注意
オゾンは強力ですが、長く匂うと人体に害があるので、興味本位でニオイを嗅がないように、また70分間しっかり使いましょう。
グランズレメディ(モアビビちゃんの魔法の粉)で消臭
ランズレメディはニュージーランド生まれの強力な靴用「除菌・消臭パウダー」で、ニオイの元のバクテリアを根源から除去してくれます。
- タルク
- ミョウバン
- 酸化亜鉛
- 香料等
使い方は、付属のスプーン1杯(片足分)を左右の靴の中に撒いて、トントンと軽く靴を振って放置するだけ。
パウダーの入った登山靴をそのまま履いて登山できるので、気軽に使えます。
履いた靴をすぐに脱ぐと、靴下に白い粉がつくので、短時間しか履かない場合はオススメしませんが、登山のように3時間もずっと靴を履き続ける場合はオススメです。
(いつの間にかパウダーが消えて目立たなくなる)
結構ニオイのある靴でもかなり効くので、特に連泊などで縦走する場合にはオススメです。

登山靴に乾燥機はNG
登山靴に乾燥機をつかうと、急激に靴が乾燥してしまい、靴が縮んだりして寿命が減ってしまいます。
特に皮革素材の入ってる登山靴には要注意。
乾燥させる時は風通しのいい日陰で自然乾燥させてください。
靴用のオゾン乾燥機というのもありますが、これも急激な乾燥による劣化に注意しましょう。